大阪再生にはもっと緻密な産業経済対策が急務
2013年3月15日 商工労働委員会で質問する酒井議員
平成24年度補正予算案と平成25年度当初予算案を審議する平成25年2月定例府議会が、2月22日から3月22日まで会期30日間の日程で開かれました。
今議会は、国の緊急経済対策を受けての景気回復への大きな期待が懸かった大変大事な議会となりました。
国民の大きな期待のもと昨年暮れ誕生した安倍晋三内閣は金融・財政・規制緩和の3本の矢を総動員し、日本経済の再生に全力で取り組むことを表明しました。その3本の矢のひとつが国の平成24年度補正予算と平成25年度予算に計上した緊急経済対策の早期実施であります。
この緊急経済対策予算は主として府県を通じて行う災害対策などの土木関係の予算と、国が大部分直接執行する産業経済対策予算などがありますが、大阪府でも、本当にこの狙い通り景気対策の効果が図られるよう予算化が行われているのか本会議での代表質問や商工労働常任委員会等での質疑を行い確認しました。
さて、松井知事や橋下市長はかねてから大阪の経済状況の悪いのは、大阪の行政制度が大阪府と大阪市の二つの組織があるためであり、組織をひとつにし、大阪都にすれば、政策が一元化され、大阪の競争力を回復することができる、このため大阪都構想を進めるのだと主張してきました。
このことに対し、私たち自民党府会議員団は、大阪の二重行政をなくし政策の一元化をするには、別に大阪都にしなくても、関西広域連合と同じように大阪広域戦略協議会のような仕組みをつくれば充分対応できるし、また、そのほうが実現が早いこと、そして、本当に大阪経済を再生させるには、制度の問題ではなく、むしろ、今すぐにも出来る経済振興策にこそ全力をあげるほうが先決だと主張してきました。
前回の委員会でもこうした観点から、大阪の経済浮揚のためには、現在やっているような大阪という狭い範囲での対策におわるのではなく、関西全体をにらんだ経済対策を進めることが必要なことを資料を示し指摘しましたが、残念ながらその後、府でどんな検討をされているか何も伝わってきていません。
こうした中、昨年秋、大阪にも国際戦略総合特区が設定されましたが、これに伴い、別表1の通り、企業誘致の対策地域を従前の区域より大きく狭め、特区以外の産業集積促進地域では、誘致税制対象企業を大企業を外し、中小企業にのみ特化するという条例が今議会に提案されました。
松井知事の経済対策では特区を作れば大阪がよくなるかのように言いますが、実際に大阪経済を支えているのは、むしろ従来からの繊維や化学、医薬品などの基礎素材型の産業が(例えば衣料品を中心にした繊維が今や飛行機や自動車のボデイをつくる炭素繊維を作り出したように)最先端の技術革新に努めてきた結果であります。
もちろん、これからの新産業を創り出すための特区の必要性については私たちも早くから主張してきたものですが、しかし同時に、40兆円に届く大阪の府民総生産額を維持しようとすれば、経済対策を単に特区内や特定業種に絞り込んでしまうのではなく、もっと幅広く産業振興策をはかることが必要だと私たちは考えており、そのための質疑を行いました。
また、産業経済の対策は府県でも行っていますが、別表2に記載の通り、実際には国の予算で直接企業や団体に対して補助金等を使って支援策をとることのほうが圧倒的に大きく、そういう意味では、大阪での産業振興を進めようとすれば、国との連携が必須の課題であります。
ところが今の大阪府政では、大阪府・市という行政制度の変更には大変な力を入れますが、大阪経済を本当によくするために欠くことのできない国との産業経済対策の連携に果たしてどれだけ力が注がれているのか、全く心もとない限りであり、商店街の振興対策ひとつとっても、市町村任せ、国任せであり、商店街の省エネ対策すら国頼みになっています。
こうした問題点について、福島区選出酒井 豊議員が松井知事ならびに商工労働部理事者に質問をいたしました。
特区外の企業誘致はどうするのか
【酒井議員】特区外の企業立地誘導策を中小企業に特化するとのことだが、立地した企業の調査では、立地誘導策が立地決定をした主たる要件であったと言っており、また、対象地域の市町村では、今までどおり大企業も対象の誘導策をとっている。ところが、府では大企業は国の施策でやってもらうのだと言って大阪府だけが大企業を対策から外してしまうが、これで企業誘致ができるのか?
【商工労働部】税収構造から考えると大企業に対する税財政措置は国の役割と考えている。
【松井知事】国の支援策が大企業の設備投資に厚みを増しており、府の支援策を中小企業の成長促進に集中した。
【酒井議員】大企業は外し、その分中小企業に特化して中小企業に厚みを増すというが、中小企業の対策は従来どおりしかしてないではないか。
国頼みの商店街対策
【酒井議員】このたびの国の緊急経済対策で省エネや防犯対策に多額の補助が計上されるということで、府下の商店街でも非常な期待をしているようであるが、府では商店街対策は市町村の仕事、府の仕事は広域的に支援することと言いながら、環境農林部の省エネ対策のLED補助制度は23年度で打ち切り、知事重点事業の商工労働部の24年度の省エネ設備導入貸付金の予算9億円は補正予算で全額減額され、来年度は1億8千万円に縮減されている。いずれの事業も国からの補助事業をただそのまま計上しているだけなのでこんなことになっているのだが、広域行政体としての大阪府が一体どうしようとしているのか全くわからない。
【商工労働部】省庁ごとに立案される事業の影響により、自治体における政策の連続性を欠くことが生じた。大阪全体を俯瞰して国の政策を落とし込み施策展開できるよう広域行政の役割を果たしてまいりたい。
【松井知事】まさに政策遂行の形が中央集権型になってしまっている。広域を担う仕事を広域行政体に任してもらえるようにこの国の統治機構システムを変えていきたい。
【酒井議員】それは違う。東京都は東京都として自前でやることをやっている。都合が悪くなったら国だ、制度だと言う前に、せめて国から来るものぐらい広域行政体として調整するべきではないか。
産業政策の国との連携について
【酒井議員】国の産業政策の大阪での展開についてどう把握しているか?
【商工労働部】経済産業省の補助金のほぼ全てが地方自治体を経由せず、直接民間に交付されるので、大阪にいくら投下されたか把握できてない。
【酒井議員】国の緊急経済対策の地域関連分の予算が大阪にどれだけ投下されるか推計すれば、大阪は産業面だけで見れば10%ぐらいの比率が想定され、推計で900億円もの予算が大阪に投下されることになる。(別表2を参照)一方、25年度の大阪府の商工の主な事業予算は金融対策や労働対策を除けばわずか60億円なのが実体。
制度論の前に、国との産業政策の連携強化を図る仕組みをつくることがまず先決だと思うが?(大阪の産業振興は大阪で展開されている国の対策を抜きには図れない)
【商工労働部】国との情報共有に基づく政策形成と推進への関与というレベルには不十分と考えている。指摘を踏まえ、経済産業局等との情報共有を初め、連携の強化を図りたい。
特区だけで本当に大阪経済がよくなるか